小金井書房ブログ

孤独、哀愁、静けさ

安心できる居場所、サードプレイスの必要性

 

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サードプレイスとは何か

 「サードプレイス」という言葉があります。

これは、家という「ファーストプレイス」でも、職場や学校のようにその人が長く時間を過ごす場所「セカンドプレイス」でもない、自分らしく過ごすことができる居心地のいい第三の場所、といった意味の言葉です。

私はこのサードプレイスや居場所というものにかなり関心を持っていて、そのような場所の重要性を感じています。

というのも、「この世の中にどこにも居場所がなくて困っている」「サードプレイスのような居場所が欲しい」と思っている人は、おそらく社会に大勢いると思っていますし、私自身もそのように思った経験があるからです。

 

居場所がないのは辛く苦しい

 かなり前の話ですが、私は、とある県の知らない土地で一人暮らしをしながら、割とブラックな職場で働いていたことがあります。そこでは知り合いが一人もおらず、職場と家をただ往復するだけの毎日でした。

職場は上司と私を含めて数人という小さな職場で、その上司がパワハラをする人間でしたので、狭い職場で常にその影響を受け続け、なかなかきついものがありました。

 そんな日々の中で、帰宅途中の駅ビルに入っている本屋ぐらいしか、私の行く場所はありませんでした。

当時はサードプレイスという概念や言葉もほとんど知られておらず、私は世の中にそういった場所があるという発想もありません。

家と職場以外に居場所がないというのはこんなに辛いものか、と身に沁みる日々でした。

 当時の私のように、家と職場しか行く場所がないと、その場所に何かあった場合、精神的に行きづまりやすくなってしまいます。

たとえば社会には、様々な事情で普段、家以外には居場所がないという人も少なくないと思います。

そういう場合、主な居場所である家に何かトラブルがあったりすると、逃げ場所がなくなり、苦しい状況に追い込まれてしまいます。

ですから、多くの人にとって、家でも職場(学校)でもないどこかに心が安らげる場所。楽しんだり、のびのびできる場所が必要なのではないでしょうか。

 

一人の人間には、多様な顔がある

 職場や学校というのは、基本的に個人が何らかの義務的な役割を与えられている場所です。人はそこでは、その与えられた役割を全うすることを求められます。

家庭も、ある意味では同じです。夫や妻、父親や母親としての役割を果たしたり、子どもとして高齢の親の面倒を見たりするのも、ある種の義務的な役割です。

その役割を果たすことは立派なことだと思うのですが、時にはそのことに疲れたと感じてしまうこともあるかもしれません。

 職場も家庭も、人がそこで毎日長い時間を過ごす場所ですから、周囲にいる人にとってはそこでの顔がその人のほとんど全てだと思ってしまいがちです。

でも本当はそれらの場所で見せる顔というのは、その人の一部にしか過ぎません。

 一人の人間には、本来、職場や家庭での役割をこなす自分という一面以外にも、色々な側面があるものです。

例えば、楽器を演奏するのが好き、動物が好き、囲碁が好き、人とおしゃべりするのが好き、自分が作った料理を人に食べてもらうのが好き。

そういった、ファーストプレイスとセカンドプレイスでは見えない、個性的でその人らしい一面が、本当は人の数だけあるはずなのだと思います。

そういった自分の趣味的なことを楽しんだり、気持ちがほっとできたり、日常では出会えない人と関わったり、生き生きとできる場所がどこかにあったら、いいと思いませんか。

学校や職場では目立たない存在の人でも、その場所では輝けるということも、きっとあるでしょう。

そんな、皆さんにとってのサードプレイスが、現代ではどこかにある可能性があるのです。

 

どこにどんな場所がサードプレイスとしてあるか

 サードプレイスとなり得るような場所は、人によって実に様々です。

例えば、同じ趣味や、同じ悩みを抱えた人の集まり。社会人のサークル等々。ネットで探してみると、現代では社会に様々な集まりが存在していて、参加者を募集したりしています。

 それから近年は、チェーン店ではない居酒屋が若い人などを中心に人気を博しているそうです。単にお酒を飲むだけでなくて、近くに座った知らない人とのコミュニケーションを楽しめるのがいいのだそうです。

また、シェアハウスを自分にとってのサードプレイスの一つと感じている人もいるそうです。

 これらはほんの一例ですが、この広い世界には、皆さんにとっての居心地のいい場所が、きっとどこかにあるはずです。

私も自分に合ったそういう場所を探していますし、実際に参加している場所もあります。

 

 ネットも一つの居場所やサードプレイスになり得る

 住んでいる地域によっては、サードプレイスとなる場所が見つからないということがあるかもしれません。

しかし、自分にとって居心地のいい居場所は、現実世界だけに存在するとはかぎりません。ネット上に存在する場所も、その役割を果たしてくれる可能性があります。

 例えば、SNS等では、現実社会での立場を超えて、好きな趣味を通じたりして他人と交流することができます。

特に、Twitterには、日常ではなかなか周囲の人に言えないような個人の本音を言うことができるという文化があります。そして、それに対して共感したり、反応してくれる人がいたりします。Twitterやその他のSNSを利用している人にとっては、そこがある種のサードプレイスになっていると言えるのではないでしょうか。

 こういったネット上の場所も、立派な居場所だと私は思います。その居場所があることで、家や職場ではできないこと表現して楽しんだり、安心したり、助かっているという人が多くいるからです。

ですから、自分にとってのサードプレイスとなる場所が、現実の場で見つからなくて悩んでいるという場合には、ネット上で自分に合う場所を探すというのも一つの方法ではないかと思います。