小金井書房ブログ

孤独、哀愁、静けさ

SNSの強いストレスと対処法 「第1回 SNS疲れの原因」

 

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 目次



SNSをおだやかに楽しむのは難しい

 SNSの利用者は日本で2016年現在、6000万人以上いるとされています。また、スマートフォン利用者の90%程度がSNSを利用しているそうです。

SNSはLINE、Twitter、Facebook、Instagram等、種類も実に様々なものがありますが、たまたま私が主にTwitterを利用していますので、この記事では主としてTwitterを例に書かせていただきたいと思います。

 私もSNSを利用している一人として、その魅力は大きく感じているところです。Twitterでは社会の色々な人の考えていることや本音を読むことができたり、SNSがなければ知り得なかった魅力的な人をネット上で知ることができて、その点では感謝しています。

 ただ、一方で、Twitterを去っていく人たちもけっこう見かけます。「Twitterのストレスにもう耐えられません。さようなら」と言い残して去って行った人を見たこともあります。

私も利用する中で感じていることですが、SNSにはもちろん楽しさもありますが、その一方で強烈なストレスとなる要素も存在しているのもまた事実です。

 ご存知の方も多いと思いますが、「SNS疲れ」「ソーシャル疲れ」といった言葉があります。これらは、SNS上での人との関係やコミュニケーションの中で発生するストレスや気疲れのこと。「フェイスブック疲れ」という言葉も割と有名ですよね。他にも「LINEいじめ」など、SNSには特有の問題が発生しています。

 SNSとは楽しさがある一方で強いストレスや危険もある、ハイリスクなものと言えるのかもしれません。

あくまで私の個人的な印象ですが、SNSはストレス要素がかなり多いので、おだやかな心で続けるにはかなり難易度が高いもののように思います。やるなら相当気をつけてやらないと、心身をやられてしまう可能性があるということです。

 

「SNSの強いストレスと対処法」と題する記事の第1回目の今回は、SNSに存在する代表的なストレス、SNS疲れの原因となるものについて見ていきたいと思います。

そして続く第2回では、このようなストレスを回避してSNSを長く楽しんでいくための具体的な対処方法について触れてみたいと思います。

 この記事がこれからSNSを始める人や、今利用しているけれども実は苦しさを抱えているという方にとって多少でも参考になれば幸いです。

 

対人関係のストレス

 SNSはネット上で人と交流を持つことができるサービスです。ネットなので相手の顔は見えにくいですが、でも結局は人と人とのやり取りですから、リアルの世界と同じような人間関係、人とのつながりにおけるストレスはつきものです。

最初から人とあまり関わらないスタイルの人は問題ないでしょうが、例えばTwitterを利用している多くの人は相手に「いいね」を送ったり、時にはリプライで言葉を交わしたりして交流をします。

そうやって他者と関わっていく中で、SNSでは時に人間関係における気疲れが発生することがあります。

 

(気遣いによる疲れ)

 SNSでは、フォロワーや自分の周囲にいる人に対して、人によってはけっこうな気遣いのストレスが生じます。例えば、

  • 相互フォローしている相手のツイートを毎日のようにチェックして、毎回「いいね」を送ったり反応しなきゃ。
  • 相手に「いいね」を送ってもらったから今度は自分もお返しをしなきゃ。
  • 知人が記事や写真を投稿したから、それを私もシェアしなきゃ。

 こういった感じで、SNSでは義務感による気疲れが生じることがあります。そして、このような義務の意識が強過ぎるようになると、SNSはだんだん楽しいものではなくなってしまいます。

 それに、義務意識に駆られて、本当はいいと思っていないのに「いいね」を付けたり、いいと思っていないのに記事をシェアすることには問題があります。

まず、それらは自分の気持ちに反することをしていることになりますし、また良質ではないコンテンツを他の人に広めることにもなってしまうからです。

 このように、SNSで無理して人に気を遣い過ぎていると、知らない間に自分の内側に気疲れのストレスが蓄積されて、ぐったりすることになります。

 

(人との関わり方の問題)

 SNSでの人との関わり方は少し注意が必要です。例えば特定の誰かと関わるとき、時とともに自然に相手と仲が深くなっていくのは問題ないと思いますが、最初から高いテンションで相手と深く関わり過ぎると後々困ったことになりやすくなるのです。

というのも、最初からそのように誰かと関わると、自ずとお互いに対する期待が上がりますので、例えば初期の頃高いテンションで頻繁に絡んだり「いいね」をくれていた人が、やがて絡んでくれなくなったり「いいね」を送ってくれる頻度が減ったりすると、「あれ?」ということになります。「あの人、私のこと嫌いになったのかな?」というように。

本当は今までのテンションの高さが異常だっただけで、ただ普通の状態に戻っただけだったりするのですが。

 でもそんな時、初期の頃とのギャップを感じてしまって、「あれだけ親しくしていたはずなのに…」と、仲良くなるどころか相手に対する印象が悪くなってしまうなんていうことがよくあるのです。

実際、Twitterで相互フォローした初期の頃にかなりの頻度で「いいね」を入れたり入れられたりする相手というのは、やがて疎遠になりやすいという傾向があります。

 それから、例えばTwitterでは相互フォローしてる人が他にも多くいる中で、その内の特定の人とだけいつもやり取りしていると、それが内輪のようになって内輪の外にいる人に疎外感を与えることがあります。

 SNSで人と良好な関係を続けていくためには、人との関わり方にもある程度注意や工夫が必要といえるかもしれません。

 

 

自意識に関するストレス

 さて、SNSを利用する上では上記のような他者との接し方、自分の外部に対する気苦労の他にも、自分の内部における問題もあります。それは、自意識にまつわるストレスです。

 SNSでは、自分が他人から「承認されている」「嫌われている」「人気がある」「人気がない」といったことを自然と意識してしまいやすい仕組みになっています。

言ってみれば、自分の価値がどうなのか、高いのか低いのか、といったことを無意識のうちに意識させられるのです(中には気にしない人もいるかもしれませんが)。

そして、そのようなことに頻繁に一喜一憂することは、実は私たちをとても疲れさせます。

 

(反応がないことの寂しさ、辛さ)

 私たちがSNSで投稿したりブログ等で記事を書く時、多くの人はそれが他人に見られることを心の内で期待しているでしょう。たとえ目に見える反応がなくても、もしかしたら誰かが見ているかもしれない、と。

 以前、Twitterはブラックホールのようだと言っている人をどこかで見かけました。自分の発信したツイートは、まるで宇宙に存在する広大な穴に吸い込まれるかのように誰の所にも届かず消えていくように感じる、と。

 Twitterでもブログでも、投稿しても他者からの反応がなければそう感じるのももっともです。そして実際に、Twitterでもブログでもそういったことは割とよくあることなのです。そうなると、それらを続けることが虚しくなってやめてしまうのも無理はありません。

 SNSでは自分が他者から見られる、反応があるということが大きな魅力なのかもしれませんが、逆に反応がなければ期待していた分強い苦しみを味わうことになります。

 

(人に嫌われるストレス)

 SNSの中でも一番強烈なストレスはこれかもしれません。つまり誰かから否定、拒絶される辛さです。

 Twitterで言えば、時に自分が他者からフォローを外されたりブロックされることがあります。これはいわば人から嫌われた、否定されたことを意味する出来事で、された側にとってはけっこうなストレスになります。

 Twitterでは、このように自分が人から嫌われたと感じる機会は割とあります。例えばフォロワー数が減っていくのを目にする時。誰かをフォローしても相手からフォローが返ってこない時。最初は「いいね」を送ったり絡んできてくれた相手が、やがて接触してこなくなる時、等々…。

 私たちにとって人から嫌われる、拒絶されるということは一般的に、強いストレスやショックとなるものです。

ところが、SNS上には怒りっぽい人、感情的な人、気の短い人がけっこう多くいます。ですから、SNSを利用していれば拒絶されるような目に遭うことも少なからずあるでしょう。

しかし、人を好きになるのも嫌うのも個人の自由ですから、自分が誰かから嫌われたり拒絶されたとしても、それはまあ仕方のないこと。逆に自分の方から誰かを拒否することだってあるでしょうから。

 SNSはそのように人を嫌ったり嫌われたりが頻繁に行われる場でもありますから、そのことに耐えられないと心労を抱えることになってしまいます。

 

(人と比べることで生まれる苦しみ)

 SNSは人と自分を比べてしまうことでストレスが発生しやすいシステムです。

あの人は友達が多い、あの人は沢山反応がある、あいつはリア充…。フォロワー数だとか、「いいね」の数だとか、やたら数字も押し出されてくるので、無意識のうちについつい自分を他人と比較してしまいがちです。

 有名な「フェイスブック疲れ」の原因も、大半はこの他人との比較にあるのではないでしょうか。

よく言われていることですが、フェイスブックでは自慢したり自分をよく見せようと演出している人が多いように私も感じています。

別に聞いてもいないのに目に飛び込んでくる学歴や勤務先等の情報。自撮り写真や自分の子供の写真、おしゃれなランチの写真、幸せな出来事の報告等々。

当人たちはほとんど無意識で悪意はないのかもしれませんが、どうにも何かが臭ってしまいます。

 そのような他人を見て自分と比べるのは何かと疲れますし、心のおだやかさも失われてしまいます。

 

(人気者が抱える闇)

 Twitterではツイートするたびに多くの反応がある人、「いいね」が沢山送られるような人気のある人がいます。

このようにSNSで多くの他者から承認されるのは、一見特に問題がないように見えます。でも、普段からそうやって沢山「いいね」をもらい慣れている人が、段々その「いいね」の数が減るようになったらどうなるでしょうか。おそらく心中穏やかではいられないでしょう。

 実はTwitterの「いいね」の数にはある種のからくりがありまして、Twitterで他者から送られる「いいね」というのは、実はその多くはこちらが送った「いいね」のお返しに過ぎないのです。

ですから、「いいね」を沢山もらえる人というのは、他の人に沢山「いいね」を入れている人というのがほとんどです。

そして、こちらが「いいね」を送らなくなれば、自然と自分がもらえる数も減ります。芸能人や有名人でもないかぎり、こちらが「いいね」を送っていないのに他人から一方的に「いいね」を沢山もらうということはそうそうありません。

 その事情を知らない人が「いいね」を沢山もらっている誰かを見ると「人気者だなあ」と思うかもしれませんが、実態はそのようなものなのです。

そして、その人気者の人たちも、かなり気を遣って毎日のように他人のツイートを見ては「いいね」を沢山送っているので、中にはそのことに疲れてしまう人もいるようです。それが理由で、Twitterの利用を止めてしまったと思われる人も私の周囲にはいます。

 

  このように、一見人気者に見える立場の人でも、SNSの世界で心中穏やかでいるのはなかなか簡単なことではありません。

 

 

まとめ

 ここまで見てきたように、SNSには多くのストレス要因が存在しており、ここに挙げたのは一例に過ぎず、人によって他にも様々なストレスがあるのではないかと思います。

変な人に絡まれて困るとか、見ず知らずの他人から攻撃的な言葉をかけられて嫌な気持ちになるとか、色々なことがあるでしょう。

実際にそれなりの期間利用してみて思うのですが、SNSではどのような立場の人でもおだやかに利用を楽しんでいくのはかなり難しいのではないか、というのが私の印象です。

 続く第2回では、私たちがこういったSNSに付きもののストレスを回避して長く利用を楽しんでいくためにはどうすればいいのか、その具体的な対処方法について見ていきたいと思います。