小金井書房ブログ

孤独、哀愁、静けさ

『ブラタモリ』という安らぎと魅力

f:id:koganeisyobou:20171208105309j:plain

心休まるテレビ番組を探し求めて

テレビが私たちに与えてくれるものは、通販番組と保険のCM、ニュース、知識、笑い、それに通販番組と保険のCMなど色々ありますが、私はテレビには主に安らぎを求めています。

というのも、日々の生活というのはそれなりにやることがあるもので、テレビを観る時くらいはゆっくりしたいからです。

ところが、私にとっておだやかで心休まるテレビ番組というのはなかなかありません。

民放はタレントや芸人が早口で大きな声でしゃべってうるさいですし、CMも多く長くて煩わしい。ニュースは怒りや悲しみを煽り、ドラマでは人が泣いたり怒鳴ったりと、心が休まるどころか、テレビ番組というものは感情を波立たせるようなものが実に多いのです。

そんな中で、心が休まるような番組というのは、実はかなり貴重です。

 

それでも、なんとか心休まる番組はないものかと、砂漠で遭難した人が水を求めるように、私はこれまでローカル局の番組も含めて粘り強く探し求めてきました。

その結果、見つかった番組がいくつかありました。それらの番組についての詳細はまた機会があれば別の記事で書くとして、今回は私にとってそんな希少な番組の一つ、NHKの『ブラタモリ』について書いてみたいと思います。

 

ブラタモリの特徴。他の番組との違い

この番組が始まったのはいつだったでしょうか。

今や有名な番組になり、もう何年も続いている気がしますが、私が最初に観た時は、たしか出演者はタモリ氏とNHKの久保田祐佳アナでした。その当時から、この番組は何か引っかかるものがありました(良い意味で)。

この番組は、他のテレビ番組とは何かがかなり違います。

何が違うのか、どこがいいのか、とあらためて考えてみると、結局その雰囲気がいいのだという結論に達しました。

 

ブラタモリは、タモリ氏が毎回日本各地を訪れ、その行く先々で専門家からその土地の地形にまつわる話を聞くというスタイルで、それもたしかに興味深くはあるのですが、それよりも、私はあの番組の雰囲気自体を味わいたくて観ています。

だから、タモリ氏たちが毎回どこに行こうが、基本的に楽しめます。雰囲気自体が好きだからです。

その雰囲気の何がそんなに良いのかというと、まず、とにかくおだやかで静か(特に番組が始まって一番最初の、番組タイトルが表示されるまでの雰囲気が静かで好みです)。

BGMがほとんどないですし、他の番組のように、お笑い芸人やタレントを使って盛り上げようとか、テンション高くいこうというのがないのがいいです。

感情的ではなく、感動などもない。あるのはちょっとした笑い程度。そして観終わったあと、「いいものを観た」という落ち着いた気持ちになれる。

ちょうど、環境音楽と呼ばれるジャンルの音楽を聴いたあとのような感じです。

また、番組では毎回日本の様々な場所を訪れるので、ちょっとした旅行気分も味わえます。

 

タモリ氏と近江アナの魅力

そんな番組の雰囲気の大きな要因となっているのが、もちろんメインの出演者であるタモリ氏です。

以前、タモリ氏と所ジョージ氏に関する記事でも書いた気がしますが、タモリ氏にはウケようという欲や緊張感が感じられません。

いつも淡々、飄々としていて、テレビタレントとしては珍しい存在だと感じます。

タモリ氏とともに出演するNHKの女性アナウンサーはこれまで何度か替わってきましたが、これを書いている現在番組に出演している近江アナもまた魅力的です。

女子アナと呼ばれる人たちは、一般的に欲望や自己愛等が強そうで苦手な印象があるのですが、近江アナにはあまりそういったものは感じません。

長瀞の回でタモリ氏が学芸員の人と珍しい岩について話をしているときに、興味なさそうにぼーっとしている近江アナが突っ込まれていて、かなり面白かったです。

 

タモリ氏も近江アナも、ギラギラした所がなく、煩悩が少ない二人。

このような人は、テレビでも日常でも滅多に見かけません。そういう点でも、私にとっては希少な番組なのです。

それから、行く先々でその土地を解説してくれる専門家の方も、魅力的な感じの人が多い気がします。

そのあたりも、観ていて気持ちがいい理由の一つなのかもしれません。

 

スタッフを映すのは何故

そんな好んでよく観る番組だからこそ、少しだけ気になっていることもあります。

それは、タモリ氏たちがロケで歩いている周囲を、スタッフがぞろぞろ歩いているのが毎回映っていることです。

あれは、何でああいう風に見せているのでしょうか。他の番組ではああいうのはあまり見たことがないのですが。

あれを見ると、フィクションで言うならメイキングを見せられている感じでこちらが番組世界に入り込むことができなくなりますし、何だか大名行列みたいでタモリ氏が偉そうにも見えてしまうので、あまり良くないと思うのですが…。

でも、何か理由があってそうしているのかもしれません。

 

情報過多で何かとスピードが重視されがちな現代の社会では、心静かに落ち着ける時間というものは得難いものになっています。

そんな中で、この番組の存在意義、社会貢献度はかなり大きいのではないか、と私は勝手に思っています。

視聴率など詳しいことは知りませんが、この番組は人気があるようですし、心休まる時間を与えてくれる貴重な番組として、これからも長く続いて頂きたいです。