小金井書房ブログ

孤独、哀愁、静けさ

ビジネスホテルのテレビで感じた松本人志氏の笑いの凄さ

 

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ホテルで隣の部屋から聞こえてきた声

  たまにビジネスホテルに一人で宿泊する機会がある。

 その日の夜も、ホテルの狭い部屋でテレビをザッピングしていると、『行列のできる法律相談所』というバラエティ番組をやっていて、松本人志氏がゲストのような形で出演していた。

私はこの番組のことを詳しく知らないのだけれど、松本氏がゲストのような形で何かの番組に出ているのは珍しい気がして、なんとなくその番組を観ていた。

 番組の中で、ハイテンションで変なノリの女性YouTuberに絡まれている松本氏。その困惑した様子で発するコメントに、思わず笑ってしまう。すると、私の部屋の隣の部屋から、若い男の笑い声が聞こえてきた。

声や物音が隣の部屋から聞こえること自体はこういうホテルではよくあることなので珍しくないのだけど、その笑うタイミングから、どうも隣の部屋のその男性も、『行列のできる法律相談所』を観ているらしいということに気づいた。

というのも、松本氏がボケたり面白いことを言うたびに隣から笑い声が聞こえてくるのだ。

 それで思い出したのだが、そういえば以前にも同じようにホテルに泊まったときに、テレビで松本氏が何気なく発した一言に私自身が笑わされたことがあった。

参照記事: 「本筋と関係ない場所に意外な面白さがある」- 小金井書房ブログ

私は普段、テレビのバラエティ番組はほとんど観ないのだけど、そんな年に数回観るか観ないかの松本氏にまたも笑わされ、松本氏の仕事の質の高さに感嘆した。

 

松本人志氏の笑いの特徴と打率の高い仕事ぶり

 あらためて松本人志という人物について考えてみると、芸人・タレントの中でも特異な存在であると感じる。

 私が一番特徴的だと感じるのは、芸人なのにテンションが高くないという点だ。話がゆっくりとしていて、非常に落ち着いている。

一般的に、テレビに出る芸人やタレントたちは、テンションが高く早口で話すことが多い。それが私は割と苦手なのだが、そんな中で松本氏は、ゆっくりとしたトークで笑わせる。勢いやノリで笑わせたりすることがない。

これは、自分の能力に相当な自信がないとできない芸風であると思う。普通、人は緊張したり焦っているほど早口になりやすいし、勢いでその場を乗り切ろうとしたりするものだからだ。

 

 思えば、松本氏はテレビにもう30年近く出続けている気がする。

その間、私の知る範囲では長期の休養などでテレビの仕事を長く離れたことはなかったように思う。

 最近では、笑いとは関係ない松本氏の意見や見解が取り沙汰されることも多く、度々批判を受けることもあるが、それらに屈することなく自分の意見を言い続ける精神的タフさ。

休まずに忙しく仕事を続けることが必ずしもいいとは限らないけれど、それでもあれだけの数の番組に長年出演し続けていて、その姿をいつテレビで見かけても外れがなく、いつどんな時たまたま見ても、ほぼ必ず面白い。常にワンランク上の笑いを提供し続ける、驚異的な打率の高さ。

 その類まれな手腕により、夜のビジネスホテルの一室でたまたまテレビをつけた私は笑い、その隣の部屋の宿泊客も声を出して笑っている。おそらくこのホテルだけでも他にも同じように笑っている人がいることだろう。

 会ったこともない世の中の多くの人たちをこうして笑わせているという事実。そのす凄さ。これこそ、お笑いの世界に生きるプロフェッショナルの仕事だと感じた。

 たまたま泊まったビジネスホテルのたまたまつけたテレビで良い刺激を受けた。私も種類は違っても、そういう仕事をする人間になりたいものだと思った。

そして、隣の部屋の声が普通に聞こえるホテルって、やっぱりちょっとどうなのだろうかとも思った。

それから、『行列のできる法律相談所』って法律のことは全然やってないなと思ったのだった。