郊外の駅前を歩いていると
少し前、東京の西の端の方にある郊外の街の駅前を、たまたま夜一人で歩いていた時のことです。
道の遠くに方に見える居酒屋か何かの店の前で、道行く人に声をかけようとしているか、または何かを配ろうとしている風に立っている女の人が見えました。
このまま私がまっすぐ歩いて行けば、その女の人の前を通るのは確実です。
何かチラシみたいなものを渡されたら嫌だなと思って、違う道を通ろうかと思ったのですが、そんなことでわざわざ違う道を歩かされるのも何だか嫌だと思ったので、結局そのまままっすぐ歩くことにしました。
それで、その遠くに見える女の人まで距離が100メートル近くあったと思うのですが、そこまで向かう途中、目の前を一人も人が通らないのです。駅前なのに。
ですからもう、その女の人も、確実に私の存在を認識しているはずなんです。
夜まだ9時くらいだったはずなのですが、駅前なのに人が一人も通らないなんて、そんな馬鹿な…ここは本当に東京なのか? それとも夢でも見ているのだろうか…?
そんなことを考えながら、ついにその女の人の前を通る時が来ました。
「やっと会えましたね」
そんなことを当然言うはずもなく、私はその前をただ通り過ぎようとしました。
すれ違う瞬間、女の人は私に何かを差し出しました。
私は何かの宣伝的なものはもらいたくなかったので、軽く頭を下げて素通りしました。
でも通り過ぎた直後、横目でそれがポケットティッシュだったのだとわかりました。
それで、思ったのです。
なんだティッシュだったのか。だったらもらえばよかったな、と。
ポケットティッシュが受け取られない意外な盲点
街中で人が何かを配っているとき、何かの宣伝的なものは大抵こちらにとってはゴミにしかならないので、多くの人はそれを受け取りたくないのが普通かと思います。
だから、何かを渡されそうになっても、大抵はその前を素通りします。
ティッシュ配りの人が配っているティッシュも、みんながみんな受け取るわけではありません。
私もチラシなどは受け取りたくないのですが、ティッシュに関しては別で、積極的に受け取ります。
なぜかというと、ティッシュはゴミではないからです。
それどころか、生活する上で欠かせない重要なものです。
ティッシュというのは、買えば当然お金がかかりますし、それだけでなく、一般的に売られているボックス型のティッシュ5箱入りのものをスーパー等で買えば、買い物としてはかなりかさばる荷物にもなります。
ですから、ポケットティッシュを無料でもらえるというのは、すごく助かることなのです。外国ではこのように街で無料でティッシュを配るという文化はないので、日本に来た外国人は驚くそうです。
さて、そんなにありがたいポケットティッシュなのですが、どうして世の中には受け取らない人がいるのでしょうか。
まず、自分のポリシーや考えによって単に受け取らないという主義の人もいるでしょうが、中には先ほどの私の例のように、人が配っているものがなにかの宣伝物なのかポケットティッシュなのか、もらうぎりぎりになるまでわからないので、結局気づいたときには素通りしてしまい、もらいそこねる、というケースが実はかなりあるのではないかと思います。
ティッシュ配りの人は、自分の配るポケットティッシュを受け取ってもらいたい。
こちらもポケットティッシュが欲しい。
両者の願いは同じはずなのに、そんなほんのちょっとしたことが原因で目的が実現しないという、何とももったいない不幸が起こっているのです。
ポケットティッシュが受け取られやすくなる方法
そこで、そんな惜しい状況を解決する方法を考えてみました。
その方法とは、ティッシュ配りの人がティッシュを配る時に、
「ティッシュです」
と、声に出して言うということです。
具体的な言葉は「ただ今ティッシュをお配りしています」でも、「ティッシュ、いかがっすか」でも、何でもかまいません。
ティッシュ配りの人はよく、「ただ今◯◯◯のご案内をしています」とか「よろしくお願いします」などと言って配っていますが、そうではなくてとにかく、私が配っているこれはティッシュなんですよという事実を伝えるのです。
そうすれば、少し離れたところからでも「ああ、あれはティッシュを配っているのだな」とわかるので、こちらももらいそこねることがなくなりますし、ティッシュ配りの人も受け取ってもらえる確率が高まりますので、両者ともにハッピーになれるというわけです。
一見馬鹿馬鹿しく見えるほどシンプルな手法ではありますが、その効果はけっこうあるような気がします。少なくとも、私にはあります。
これからティッシュを配る予定のある方は、よかったらこの方法を試してみていただきたいです。