小金井書房ブログ

孤独、哀愁、静けさ

スポーツや勝負事の目的、真価とは何か

 

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スポーツの主旨とは?

年末年始にやっていたとある学生スポーツの大きな大会で、負けた強豪校の監督が負け惜しみと取れる発言をし、それが見苦しいとして一部でちょっとした話題になっていました。

少し調べてみたところ、その監督に限らず、他にも負けた強豪校の監督で何人かの人たちが、問題になるほどではないけれどやはり負け惜しみと取れるような発言をしていることを知りました。

それらの監督さんたちの発言から共通して感じ取れたのは、「結果的に負けたけれども、試合の内容的に本当はウチが勝ってもおかしくなかった。負けという結果にどうにも納得が行かない。今回は運が悪かった」というような心情です。

 

しかし、その強豪校に勝った相手チームたちは、特に反則をして勝ったわけではありません。

それにもかかわらず、自分たちの敗北を潔く認めず、相手を称えることもないその監督さんたちの様子を見ていたら、はたしてスポーツというのは何なのだろうか。勝ち負けに勝つことというのは何なのだろうかとあらためて考えました。

仮にその強豪校の監督たちがそのような精神のまま勝ったり優勝したところで、はたしてそれでどうなのでしょうか。スポーツを通じて若者を指導する立場にある大人たちのそのような態度に、「スポーツってそういうものだったっけ?」といささか疑問を感じました。

 

昨年の12月に行われたサッカーのクラブワールドカップという大きな大会の決勝では、世界的なスターであるネイマール選手が相手選手のラフプレーに対する報復行為をしてイエローカードをもらっていました。

その時のネイマール選手の表情は、悪いことをしたというよりも、「仕返しをしてやったぜ」という、ある種晴れやかな表情に見えました。

たしかにネイマール選手は試合中その相手に執拗なほどラフプレーをされていたので苛立つ気持ちはわかりますが、スポーツ選手である者が怒りに駆られて同じやり方で暴力でやり返すというのはいかがなものでしょうか。

ネイマール選手は、審判への暴言等でも度々問題になっています。

 

勝ち負けや勝負事が抱える問題点

私はスポーツが好きですし、スポーツで努力をして成果を出したり達成感を味わうというのはとても素晴らしいことだと思います。

その一方、スポーツは一般的に扱われているほど美しいものばかりではなく、負の側面もあるとも思っています。その例の一つが、先ほど挙げた監督や選手たちの態度にあります。

 

そもそもスポーツに限った話ではなく、勝ち負けに勝ちたいという気持ちの根源にあるものは何でしょうか。

そこには、「勝つことによって自分が他者よりも上の存在だと感じたい。優秀だと思いたい」という要素が少なからずあるのではないでしょうか。

ですからスポーツでは、プロの選手でも学生のスポーツでも、強者には不遜な心や慢心が生まれやすくなります。これは選手だけでなく、監督もファンや応援する人たちも同じことです。

先ほどの強豪校の監督たちも、勝つことで慢心や自尊心が強くなり過ぎて、負けを素直に認められなくなってしまったものと思われます。

 

当書房の本でも書いていることですが、勝ち負けに関することというのはとても刺激的ですから人気があります。

ただ、多くの人がその刺激による興奮を求め、勝つことに執着し過ぎるあまり、スポーツが本来持つ姿とは逆のことが時に現実では起きてしまっています。

例えば、世界一人気のスポーツであるサッカーでは、監督が審判に対して批判したり暴言を吐いたり、選手がグラウンドに唾を吐いたり試合中に相手選手を口汚く罵ったりしても、大して問題視されていないという現実があります。

そういったことはあまりに日常的になり過ぎて、「まあ、よくあることだよね」ぐらいの感じになっています。

本当はスポーツで審判に暴言を吐くなんてかなり普通ではないことだと思うのですが・・・。

 

スポーツや勝ち負けに勝つことの意義、目的とは

それではスポーツの本来の目的や、勝負に勝つことの意義や意味とは何なのでしょうか。

その大きな目的の一つは、自分の精神を鍛錬し成長させることにあるのではないかと思います。

勝負に勝つだけではなく、日々のトレーニングや試合を通して自分の精神を成長させる。

難しい状況にある時や、勝負に負けて怒りや悲しみなど負の感情に駆られそうになる時も、自分の心を抑制できる強さを身につける。

そういう部分にスポーツや勝負事の真価があるのではないでしょうか。

そこを間違えて、勝つことで自分たちが他者より優れていると認めさせたいということだけに気が行くようになってしまうと、本来スポーツが目指す精神からも、人としての成長からも遠ざかることになってしまうのではないかと思います。

 

最初に挙げた負け惜しみ発言をした強豪校の監督やネイマール選手は、強豪であったりプレーの上では優れているのかもしれませんが、精神面の成熟度ではどうでしょうか。

「勝てば官軍」という言葉があるように、えてしてスポーツの世界では結果を出す(勝つ)ことで全てが肯定される風潮があります。

でも、スポーツという世界のその外にある、もっと広い人間社会全体での視点で見ればどうでしょうか。

スポーツでもその他のことでも、勝ち負けに勝つということ以上に、もっと重要性の高いものがあるのではないかと思います。

 

 

刺激から離れる生活: 苦しみを減らす。心を安定させる

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