小金井書房ブログ

孤独、哀愁、静けさ

「ハゲ」という言葉はいずれ差別用語になるかもしれない

 

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「ハゲ」は侮蔑、侮辱的な言葉

髪の毛の薄い人に対して「はげ」という言葉は、今の社会では割と一般的に使われています。テレビなどでも「ハゲ」って普通に使われていますよね。

そのことに対して私はどうも違和感があります。一言でいうと、これは髪の毛の薄い人に対する侮蔑的な言葉であって、みんな普通に使っているけれど本来は差別にあたる言葉なのではないかと思うからです。

とはいっても、「禿げ」とか「禿げる」という言葉自体は、単に髪の毛が抜けて頭皮が露わになる様を差す言葉にすぎませんし、また、山などの草木がなくなることを指す言葉でもあるので差別用語ではないと思います。

問題なのは、いわゆる「ハゲ」と表記されるような、人を笑ったり馬鹿にしたりするような使い方です。

特にテレビでは笑いのネタに使われることが多

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いですよね。

人にはそれぞれ様々な身体的特徴があるものですが、他の身体的特徴と違って髪の毛が薄いというのは、昔から笑いの対象にされやすいようです。

 

ところで、社会では障害者を差別したり人権を侵害してはならないということがルールになっています。

そういう人たちは、自分のせいではなく生まれつきの(または不慮の事故や病気などによる)特徴によって生活に制限を受けているのだから、そのことで人権が損なわれることがあってはならない、と。

でしたら頭髪の薄い人や、その他の身体的特徴がある人も同じなのではないでしょうか。

そういった人たちも、生まれつきの体質や自分の意志でどうにもできない身体の特徴を理由に、人としての尊厳を傷つけられてはならないはず。

でも今の世の中ではどうでしょうか。「ハゲ」という言葉はごく普通に使われていますし、テレビでも世間でも、笑いの対象として扱われています。

よくよく考えて見れば、やはりこれはおかしいことなのではないでしょうか。薄毛の人を笑ったり馬鹿にするというのは、侮蔑的な行為だと私は感じます。

別に、薄毛に対する笑いを全て禁止しろ、とまで言うつもりはないのですが、笑っていいのは、本人がそれを望んでいたり許容している場合だけではないでしょうか。

例えばお笑い芸人が自分でそれをネタにしたり、一般の人が冗談で自分をネタにして笑わせる場合などです。

 

薄毛やマイノリティの人に対する共感の欠如

このように改めて考えて見ると、髪の毛の薄い人を馬鹿にするというのは倫理的にかなり問題がある行為です。

では、どうしてこのことが社会であまり問題になっていないのかというと、結局髪の毛が薄いということは、社会全体の中で見れば一部の人が抱えていることであり、多くの人は当事者ではないので共感しないからなのではないでしょうか。

薄毛は主に男性に起きる現象ですので、多くの女性は共感しません。その男性の中でも一部の人に起こる現象ですので、共感しない男性も多いでしょう。

 

同性愛にしろ薄毛にしろ、マイノリティに対して多くの人は共感や感情移入をしません。

マジョリティにとってマイノリティのことは他人事であり、別の生き物の話。自分とは全く違う考えや感じ方をする人間がいるということが想像できないのです。

だから平気で「同性愛なんて信じられない」「頭がおかしい」とか、「ハゲ」と言って人を笑ったりできます。

でも、髪の毛が薄いことで深刻に悩んでいる男性は(女性も)実際には大勢います。薄毛以外のことでも、自分の身体の特徴で悩んでいる人は沢山います。

 

少しリアルに想像してみればわかるはずです。もしみなさんが生まれつき自分ではどうしようもない身体の特徴をもっていて、そのことで人から笑われたり尊厳を傷つけられたとしたら、どうでしょうか。

傷つくでしょうし、差別に対する怒りを感じるでしょう。また、多数派という暴力的な存在に恐怖を感じるかもしれません。

私自身も自分の意志ではどうにもできない生まれつきの身体的特徴を持っているので、そういったマイノリティの人に共感する部分がありますし、今の世の中はまだまだ野蛮なのだな、と感じています。

しかし、時を経るごとに時代は洗練され、世の中の差別等の問題も、昔に比べれば少しずつ改善されてきました。

数十年後にみれば、おそらくこの薄毛を笑う現代の価値観も、野蛮で遅れた時代のものだったとして振り返ることになるでしょう。

 

将来は差別用語になる可能性がある

法律的に差別というものがどのように定義されているのか詳細は知りませんが、私自身は、自分ではどうしようもない身体的や精神的特徴などによって、人の尊厳や人権が侵されることが差別だと捉えています。

「ハゲ」という言葉はこの先社会で差別用語になるかもしれませんし、ならないかもしれません。個人的には差別用語だと捉えていますが、こういった言葉を差別用語とするのは言葉狩りだという意見もあるでしょう。

いずれにしても、私個人は薄毛の人に対して「ハゲ」という言葉は使いませんし、使ってはいけないと思っています。

それは人を傷つける可能性が非常に高いものであることは間違いないのですから。

仮に本人が自分で薄毛を笑いのネタにしていたとしても、本当は心では泣いているかもしれません。そういう場合だってあるでしょう。

 

私が子供の頃、「乞食」という言葉はごく普通に使われていましたが、それもいつの間にか使ってはいけない差別用語となりました。

それと同じように、今は一般的に使われている「ハゲ」やその他の問題のありそうな言葉も、近い将来、差別用語として使われなくなる日が来るのかもしれません。