小金井書房ブログ

孤独、哀愁、静けさ

言い間違いの多い知人の話

 

 そもそも私は知人が少ないのですが、その数少ない知人の一人に、言い間違えや読み間違いがとても多い人がいます。

 これまで、

 「あの店、いつも全然客がいない。カンコチョウが鳴いてる」

 (閑古鳥のこと)

 「フジパブリックっていうバンド知ってます? フジパブリック、いいですよ」

 (フジファブリックのこと)

など私の前で数々の発言を残し、数えれば本当にきりがありません。

(「フジパブリック」って…。

「知ってます?」って、そんなバンド存在しないんだから知ってるわけがないし…)

などと思いつつも、いちおうその人が他の場所で恥をかかないようにと、間違えた言葉を言うたびに正しい読み方をそれとなく伝えるのですが、

なぜかいつも、

「知ってるし」

みたいな感じでキレ気味になります。

(わ、私がいけないのか…?)

 

 以前、こんなことがありました。

その知人はテレビ東京で長年やっている番組「テレビチャンピオン大食い選手権」が大好きでその話になったのですが、知人によると、これまで20年間番組の司会をやってきた中村有志氏が最近司会を卒業することになったのだそうです。

「なんでやめるんでしょうか。その人の司会で人気がある番組ならずっとやればいいんじゃないですか?」

そう私が聞いたところ、知人は急に真面目な顔になり、

「いや、小金井さん。あの人は仕事に対してすごくプロフェッショナルな人なんですよ。やっぱり20年目というこの区切り、セツメにやめると自分で決めたんでしょうね…」

 

セツメ?

 

セツメ… セツメ……

 

知人の言い間違いに慣れていた私は、すぐ理解しました。

ああ、「節目(ふしめ)」のことか。

 

 そしてこの間、久しぶりにその知人と話をしていたら、最近食べものに関するテレビ番組が人気があると言う話題になりました。

そこで知人が、

「食べもの系だとあれもいいですよね、ほら、なんでしたっけ、あのけっこう有名な…。

そう! 栗原類の酒場放浪記

 

「違うよ!! 吉田類だよ!!」

 

 

今年一番大きな声を出しました。